「ちょうだい」

「センパイの・・・ちょうだい」

自分の呼吸すら邪魔に聞こえた。

なんとか、その掠れた甘い声をもう一度しっかり
聞きたくて、オレは身体を止めて、息も呑みこむ。

「もう一回」

「もう一回言えよ」

自分がどんなに余裕ない顔してるかなんて知ってる。

自分がどんなに動揺しない男かも知ってる。



フィールドで、どんなプレッシャーを掛けられても、
かわせる自信がある。

どんな相手と対峙したって臆することなんて一度もなかった。

ただ、ひたすらに、球を吸い寄せ、相手を引き付け、騙す。

その抜く瞬間は。

狂喜。




今は、そんなモンも吹き飛ばす程、興奮してる。

テンションはMAX。

射精は目前。

ナギの一言で、オレは天国も地獄も味わえる。

「ナギ・・。も一回言えって」

ナギの閉じた瞼が薄っすらと開いた。

その水っぽい黒目が揺れて、オレを見る。

ハフハフと短い呼吸音。

ナギの身体は今、正に弾ける寸前だった。

「言えって・・っナギ、もう一回、聞かせろ」

ナギの上に覆いかぶさる。

触れた首筋。

ナギはビクリと背を逸らした。

「ハァッ・・イク・・!」

喘ぐように頭を振り、ナギは握り締めていたシーツから手を離した。

「頼むから。言って、ナギ。『ちょうだい』って聞かして」

「た・・つと、」

ナギが息を呑むのが聞こえる。

「ちょうだ、ぃ・・・!!」

語尾まで耳に届かなかった。

ナギの唇がそう動くのを間近で見ながら、オレはスパークした。

ナギの腕がオレの首に巻かれ、オレは自分をナギの中へめり込ませた。

その体内で。

味わう。

鼓動。


肉同士が噛む。

血で真っ赤に充血した器官がオレ達を一つにしてくれる。

息を喘がせながら、ナギが言った。

「まだ・・出て、る・・センパイ・・」

更に腕に力が篭った。

オレは、今、天国にいる。












新学期、最初の日。

オレは(モリヤ ナギ)、少し緊張してた。

その理由は。

ゴンゾーさんのお情けで、夏休みのラスト一週間は、練習は無し。

夏休みの課題をこなせって事だ。

だけど、それって急にオレ放り出されたような気分だった。

毎日みたいにワタヌキと会ってたのに、急に会えなくなる。

一日は別に、いいか。って過ごして。電話も10分くらい。

でも次の日になると、会いたくなってくる。

でも、まだたった一日しか経って無いのに、会いたいなんて言うのに、
抵抗が浮かぶ。

んな事言う必要なんか今まで無かったから、余計に言いづらいし・・。

恥ずかしい。

それに、オレばっかそう思ってるのかも知んないって思うと悔しいから。

それで、もう一日過ぎた。

で、3日め。

オレはサッカーボール提げてお出掛け。

もういいやって。会いたいって言っても別に、もういいやって。

だって、マジ会たいんだも・・。我慢してるとなんかストレス感じるし。

若いんだからさ、身体に良く無いじゃん?溜めっぱなしなんてサ。

てな訳で、オレはボールバッグ提げてワタヌキのマンションへ向った。

が。

オレはセンパイには会えなかった。

センパイは急遽、田舎へ帰ってたんだ。お祖父さんが入院する事になって。

それが、その日だった。

そう、オレは一日我慢した日、その日に会いに行かなかったばっかりに、
それから残りの4日、センパイの声しか聞けない毎日だったんだ。

なんて間が悪いオレ。

だから結局は、オレはまたサッカー漬け。ゲームして、課題やって、土手
行って、球蹴り。

そんな4日間。

すんげえツマンナかった。

センパイとキスしたくてしょうがなかった。

抱き合いたくて悲しかった。

声も電波が悪くて良く聞こえないし。

なんだよ、コレ・・な毎日。






そして、今日。

やっと。やっと、センパイに会える。

校門から昇降口までの間、何回オレ自転車の音に振り返ったか。

だけど、ゆっくりゆっくり歩いてても、こういう時に限って、会えない
んだよなぁ・・・。

いつもは、何で居るの!?ってくらい出没率高い男のくせにさ。

オレが会いたい会いたいって思ってる時のが全然会えないんだよ。

見られたくない時程近くにいるくせに。



タツトのアホ。


寂しいキモチにさせんなよ・・。




階段を昇り、二年の階で足が止まりそうになる。

チラッて覗いて見た廊下には、その姿は無かった。

寝坊でもしてんのかな。

久々の学校だもんな・・。

もう一階上がれば1年のフロア。

開きっぱなしの戸。

「おう!モリヤ〜」

キタムラの明るい声に、オウ、と顔を上げる。

そこに。

キタムラの席の机に寄り掛かるワタヌキが居た。

心臓が跳ねる。

ビックリして声も出なかった。

「オス」

短いワタヌキの声。

だけど、嬉しそうな顔がそこにあった。

オレも嬉しい。すっげえ久しぶりに会ったんだもん。

一週間も顔見ないなんて事今まで無かった。

だから、なんかオレ頭おかしくなってて、笑っちゃって、本当は
『おはようございます』ってシレっとして言わなきゃいけないトコ
なのに、声が出ない。

つーか、涙が・・。

目がイタイ。

けど、半笑い。

センパイの隣でキタムラが口パクしてる。

アイサツだろって焦った顔して、センパイの顔見上げてた。

ウケル。

「・・あようございまス」

やっとで、言ったけどなんか変だった。

ワタヌキもなんか下向いて、照れてるみたいな感じで、余計にオレも
照れてきて、思わず。

逆走・・・!!

ナニやってんだ・・・!?オレ!!

でも、ダメ、ダメだった。なんかわかんない。今、もうなんか暴れ出しそうな
自分がいる。で、校舎の一番端。非常階段の踊り場に出て、オレは手摺に抱き
ついた。

「ウア〜〜〜〜〜〜!!!ッッッな、なんだよ!?なんでアソコにいるんだよ!?
反則だろアレ!!チクショ!チクショ!!何でイキナシ居るんだよ!?アアッもう
訳わかんねえええ!!!アーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

手摺をバンバン平手で殴る。

と、その後ろから。

「オタケブナ・・!」

身体をギュッと締め付けられる。

「センパイ」

途端に涙が溢れた。

でもそんなんもお構いなしにワタヌキはキスしてくる。

ベロッベロに嘗め回して、舌を痛いくらいに吸ってくる。

オレがずっとしたかったキスを、ワタヌキがくれた。

「タツト・・・!」

「ナギすげえ会いたかった」

ゆっくりと力を込めて抱き締められる。

その腕が動いてオレの身体中を触る。

「や・・ばいって、・・ん!」

身体は即溶解。

「ナギ、ナギ」

「センパぃ・・、オレ・・。センパイ大好き・・。すげえ・・・寂しかった。
会いたくて、オレ死にそうだった・・!」

言って真正面から抱きついた。

ワタヌキはオレのおでこにチュッチュッって音の出るキスをしてくる。

もどかしく目を開けて、口を開いて、噛み付く。

それにもっと獰猛で野獣な舌がオレの中へ這入って来て暴れる。

身体が密着して、それから離れられない。

もう離れるなんてヤだった。

もっとワタヌキの体温とか声とかをもっと近くで感じたくて、これ以上どうしようも
なく抱きついてる腕でワタヌキの背中を掻き毟った。

「センパイ・・シたい・・。シよ、センパイ、・・タツト・・」

呼んで、一瞬ワタヌキの身体が強張ったのがわかった。

それに少し不安になって見上げると、長身のこの男が顔を真っ赤にして、唾を飲み込んだ
瞬間だった。

コッチまで真っ赤になる。

オレ・・・!オレ、そんなスゴイ事言ったのか、な・・?

考えられたのはその一瞬だけ。

オレはすぐワタヌキの手で乱暴に肌蹴けさせられて、脱がされてって、外の踊り場で、
半裸。

オレも脱がされてく間中、ワタヌキの勃起に手を伸ばした。

一回撫でただけで、完全に勃ってるのがわかる。

すぐベルトを外して、両手で包んだ。

「オイ」

ワタヌキが止める。

でもオレは膝を折った。

真っ赤に充血した柔らかな先端、蜜口に唇を寄せる。チロリと舌で舐めると、ワタヌキ
の息が焦った音に変わる。

両手で握って、咥えこんだ。

アツイ・・・。こんなに、チンポって熱かったっけ・・。

口の中で、舌を動かす。

舐めると、その先端がもっと張る。

口で全部が咥えられなくて、一度離して、タマの方から裏筋を吸うように唇を当てた。

「ア・・ッ」

数回舐めて、見つめた。

「・・なんか、おっきい・・。いつもより、おっきい気がする・・」

「スゲエ興奮してるからな・・。ナギが、なんかいつもよりエロいから」

それから、また口の中へ這入るとこまで呑みこむ。

と、またワタヌキが苦しそうな、息をした。

「コーフン・・する・・?」

「・・ああ・・っ」

ワタヌキの苦しそうな声。

そっちのが、もっとオレを興奮させてた。

だから、もっともっとイヤラシイ事がしたくなって、見せ付けるように、舌を
這わせた。

滲んだ蜜口を吸う。

自分の唾液に濡れた肉を見つめてから、自分でベルトを外した。

「挿れて、タツト」

ワタヌキが熱に浮かされた目を顰めて、オレの膝を抱えた。

「アッ」

熱くて蕩けそうな舌。

それがオレの孔を勢い良く嘗め回す。

「ヤッヤダッタツト・・!!」

感じまくってるオレのソコは、舌の愛撫だけで口を開いて、ワタヌキの舌を
易々と受け入れていた。

濡れた舌が中を舐める。

その度に爪先が震える。

かみ締める声が漏れる。

それからすぐ、愛撫は烈しいモノに変わった。

指がジュクジュクと熟れた肉を掻き回し、強張りを解いていく。

「タツト・・・!!ヤダッ早く、早く挿れて・・!オカシクなる・・!」

そこからはもうただタツトにしがみ付いてた。

記憶はアヤフヤ。

声も我慢できなくて、まだ朝のHRとかの時間だったはずなのに、オレは
タツト、タツトって啼いてた。

とにかく、身体の奥でアツイ精液を感じて、オレは昇天したんだった。

新学期、一発目。

オレ達はケモノみたいなセックスをした。










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