彦です。

えーと。

ただ今、オレの前を歩いてる男を、ストーキング中。(笑)

なんでって?

目が気に入らないから。(笑)

この超寒空の下。

オレは外カフェで茶飲んでた訳。

まぁ、アレよ。アピール?オレって、カッコ良くね?って感じで。

裸にファーコート。(まぁ、ここだけの話なんとかって映画に出てるヤツの真似してるだけなんだけど)

真冬のワイルドさ?を演出してたわけだ。外カフェで。

で、よ?

そのオレの目の前でタクシーが止まって、コイツが降りて来た。

真っ黒のロングコート(個性ねえな)。

洒落っ気ゼロの黒髪短髪。

いかにもバリバリ働いてますって感じのビジネスマン風。

コイツが車から降りて、振り向いて。

その時に、目が合って・・・その目が、おもっきし、オレを見てたわけ。

まぁ、見られるのは慣れてっけど、つーか、そのための外カフェなんだけど。

雰囲気?オレのさ〜、なんかキライ?な、目だったんだよナ〜。

で。

ストーキング中〜。(笑)

時々・・・振り返るコイツの顔がメチャ、オレをニヤケさせんだよな〜・・。

なんか、ビクって感じ(笑)

どんどん早足になってるのが、まーた笑わしてくれるし。

コエーか?

世の中ってのはな〜、おい、不思議な事だらけなんだぜ?

ただ見てたって、相手が悪かったな。

オレが誰か、わかるわけねえだろうけど〜、人間じゃねえんだぜ〜?

そんなオレと遊べるんだから、貴重だぜ〜?激レア体験よ〜?

さ〜て、いっちょ遊んでやろうかなって手、伸ばそうとしたら、
スッとそいつ、でっけー建物の中に入っていっちまいやがった。

ありゃ〜。

シバシ、オレは片手中途半端にあげて、考える。

入っても怒られねえかな・・・。

なんか会社っぽいんだよな〜・・・。

んで。イッパンジョーシキテキに、待ってみるオレ。

エライ。オレ。

しかし、ヒマだな。

そこで、待つのも1分で止めて(笑)オレは蒼狼の家へとジャンプ〜。

さっみ〜風受けながら、ハーフのファーコート全開で、蒼狼の家のベランダへと飛ぶ。

ガラス、コンコン叩いて声掛ける。

「よー 元気〜?」

したら、耳のいい蒼狼はすぐカーテンを開けた。

で、ソッコウ閉めやがった・・・。

頭キて、オレは大声で。

「しあ〜〜ん!あーそーぼーーー!!」

すると、中から声がして、(たぶん蒼狼が開けなくていいとかなんとか言って、シアンと言い合ってる)

シアンが息、はぁはぁしながらガラス開けてくれる。かわいい・・・コイツ。

和む。

マジ、和む。

平和を感じるぜ・・・。

「ごめんな、彦〜。イヌが開けるなってオレを止めるからさ〜」

「だと思った」

「ガラス割られたら大変だから、焦った〜〜」

って、にっこりかわいく微笑むな・・・。

オレがそんな野蛮行為をいつしたっつーんだ・・・。

とりあえず、家主に挨拶でチョークスリーパーをかける。

それを首投げで返されると、ドーーーン!!とでっけー音に、シアンが飛んで来る。

「下の人に迷惑だろ!!外でやれよ!!」

んで、投げつけられたビールの缶。

それをブンブン振って開ける。

勢い良く吹き出す泡をアーンと、飲む。ウマいな〜、オレ。

「変な飲み方・・・。絶対間違ってるヒコ〜」

感心しながら、シアンは”イヌ”に缶コーヒーを渡す。

オレはリヴィングのカウンター席に座って、泡を吹かなくなったビールを飲む。

「あ〜、お前な。それよりウマいコーヒー飲めるとこ、オレ知ってるぞ」

「へー。ヒコっていろいろ行ってるんだ?」

「今日もカフェって来たからな〜。面白そうなモンもみっけたし」

「・・・そのカッコで、カフェかよ・・・ヒコ」

シアンとイヌがオレを、遠い目で見る。

「・・・・・・・」

一つ、咳払いして。

「お前ら、?ぃんでぃーぜる、知らねえの?この間、テレビで見なかったのか?」

それでシアンが、吹き出す。

「あのなー!アレ、結構前の映画!あんなカッコまぁフッツーーしねえけど!!」

「バカ丸出しだな」

イヌにまで笑われる。

「ナニ!?じゃあ、コレ、イケてねえのか・・・!?」

そうか・・・。それで、アイツはオレをあんな見てたのか・・・?ダサすぎるって?

「つーかさ〜?ヒコもたまには、スーツとか着てみりゃいいのに〜。いっつもガテンっぽいし〜」

「あ〜・・・。楽なんだよ、こういうのの方がよ〜」

「ふ〜ん。イメチェンとか面白そうなのにな〜」

シアンの目がかなりギラついていた。

「じゃー、見立ててくれよ」

立ち上がると、シアンも即答で「うん!」と立ち上がる。その手を。

イヌが掴む。

シアンがイヌを見下ろす。

イヌが少し口を開いて、一旦飲み込む。

「オレも行く」

「うん。あたりまえじゃん。オレが行くのにイヌが行かないのかよ〜」

ニコニコと笑うシアンに、イヌが今にも尻尾振り出しそうだった。

よかったな、お前今、人間バージョンで・・・。

3人で出たオレ達は大型専門店街とやらに行った。

しかし。なんでこんなに人間の服っていっぱいなんだろうな〜。

似てんのいっぱいあるのに・・・。

その一つのスーツの店に入る。

「あ、オレ、これがいいや」

白いストライプ入りの黒いスーツ。

「ヤクザじゃねえんだから・・・つーか、はまりすぎだっつーの・・・」

と、シアンの冷たい視線によって却下され・・・、オレはシアンが選んだベロア調のスーツを買う事になった。

少しウエストが緩いが、ベルトで締まる。

「んじゃ、カードで。一回ね」

カードを出したオレを二人が振り返る。

「イヌ・・、ヒコがカード持ってる・・・一回払いとか言ってる・・・!」

「・・・消費者金融のカードだろ・・・」

コイツら・・・オレをバカにしすぎじゃねえのか・・・?

店の姉ちゃんが返してきたカードを二人がマジマジと覗き込む。

「ゴールドだ!ゴールドカード持ってる!」

「シアン、安心しろ。手数料さえしっかり払えば誰でもゴールドに出来るハズだ」

「あのな・・・テメーら・・・ッ」

「んじゃあ、イヌの黒いカードってなんか意味あんの?」

「あ〜、買い物しすぎなんだあれは。カードでしか買い物しねえからな〜」

アホくさくなって、オレはまだ買い物する気の二人と別れた。

もち、ベロアスーツ着て。

行く先?

決まってる。続、すとーかー(笑









私は。
会社のロビーを抜けて、自動扉が開いた先に見た人間に絶句した。

その男が「よ」と手をあげる。にこやかな挨拶。

しかし、そんな親しい関係では決して無い。はずだ!

もしかしたら「yo」かも知れない。

イヤ、そんな事はどっちでもいい。

どう頭の中で検索してもこの顔にだけは見覚えが無い。

私はとにかく、視線を背け、知らぬ存ぜぬで通す覚悟を決めまっすぐに歩いた。

すると、男はすかさず私の後を追ってくる。

「なんだよ。シカトすんなよ〜。オレ、ここで30分も待ってたんだぜ?」

そんな事を頼んだ覚えは私には、無い。

足を早める事にする。

「ちょ、聞けって!まさか、オレを忘れたとか?」

その演技には騙されん。

さも知り合いのフリでいったい何の話をするつもりだ?新手のキャッチか?

いくら私が結婚していないように見えようと、ソノ時のためになんぞと、
ダイヤを買うような人間では無い。

私は、乗りたくも無い地下鉄に乗る事に決めた。

駆け足で階段を降りる。これでも足には自信があるんだ。

さすがについて来ないだろうと思ったが、一応確認のため振り返ると、
そこには頭を掻きながらリズミカルに階段を降りてくるソイツの姿が!

違うヤツにタカレ!

内心、叫びながら懺悔した。

いい会社に入って、結婚もせず、貯金ばかり500万もしてごめんなさい。

これからは、いい女には必ず声をかけます。どうか、神様、この男から逃れさせてください。

どうか、偽モノのダイヤなんか掴ませないで下さい。

力づくで印鑑なんて押させないで下さい。

お願いします。居ない女のためにダイヤなんか買いたくありません。

ホームには発車を知らせるアナウンスと音楽。

ギリギリすり抜けるドア。

間一髪。

私の数歩遅れて、男がホームへ降りた所だった。

チラとだけ見て背中を向ける。

助かった。

あんなガタイのいい男が、いったい何の用があるというのだろうか?

着ていたスーツもビジネス風では無い。ホストかお坊っちゃんが着るようなセンスだ。

顔もまったく見覚えが無い。

不気味だ。これが世に言うストーカーだろうか。

男を追いかける男のストーカーが存在するとは・・・。

何か護身用グッズを買った方がいいかも知れない。
物騒な世の中になったものだ。

私は、地下鉄をそのまま乗り継ぎ、新宿のハンズへ向かう事に決めた。










電車ってもんにまだ一度も乗った事が無いオレ。

適当に切符ってもんを、ヤツの見よう見まねで買って入って、
なんかでっけえ音がして、長い箱が動いていくのを、
ウオーーーーと見入っちまったオレ。

電車だ。電車が土の中を走ってる・・・。

走ってった後を覗く。真っ暗。

すげえ・・・。真っ暗。真っ暗だ。よく前見えんな・・・。

よくぶつからずに走れんな〜と、感心してたら、オレの後ろからファン!!て、
でっけー音がして電車がギリギリ通り過ぎやがった!

あぶね!!気をつけろよ!轢く気かよ!

仰け反ると、後ろで高校生の女が笑ってやがる。

「お前ら、どこまで行くの?」

「しんじゅくー」

笑いながら3人が一緒に答えた。

オレはおりこうな笑顔でそいつらの方へ体を向けた。

「オレも連れてってー」

こいつらの明るさってキライじゃない。

っていうか・・・、オレ、ここからどうやって出たらいいかわかんねえんだよナ。

オメーら、オレ様をナビれ(笑)









私は。
ハンズで熱心な説明を受け。

結局買ったのは、痴漢撃退スプレー(催涙ガス)。

まぁ、一番無難な品だ。携帯するにもいい大きさだ。

もっと、携帯するにはいい大きさなのは防犯ブザーだったが、
いい大人の男がそれを鳴らし、誰かが私のところへ駆けつけてくれるという自信は無い。

というか、その90%人任せな防護。アテには出来んだろう。

踏みつけられるのがオチかも知れない。

それに比べれば、このスプレーは優れものだ。

押して吹きかければ、大の男ものたうち回るという、簡素にして効果絶大。

売れ筋ナンバー1商品だ。

しかし。アレだったな。

やはり、男の独身ってのはなんかオーラが出るんだろうか。

指輪をはめてないからわかっただけだろうか。

とにかくああいう客商売の連中は、オレが何か高い物を買うと思っているのか、
隅から隅まで、商品を見せたがる。

そんなに貯金臭が匂うのだろうか。

これは早いうちに結婚でもした方がいいのかも知れない。

どこかにいい女は居なかっただろうか・・?

総務はどうだろう・・・?いや、人事・・・は?

いや、人事はまずいな、寿退社なんかさせた日には自分が退職するまで言われるだろう。

イヤ、待て待て。自分の会社から選ぶ必要は無いはずだ。世の中は広いんだ。

どこにだって女はいる。そうだ。今だって目の前にだって居るんだ。

なにも焦る事は無いだろう。じっくり選ばなければ。じっくり。そうだそうだ。

私は、とりあえず急いで結婚する事は保留し、結婚願望なるものを膨らませる事にした。

そうだ。まずは、どんな結婚をするかだ。

結婚したら、どんな生活になるのか考えるのだ。

女はそれから選べばいいだろう。まとまった結婚生活を
一緒に送れそうな相手をじっくり選べばいいんだ。

と、その時だった。

「みっけ!!」

肩を掴まれ振り向くと、少女3人に囲まれたアイツの、手だった。

ゾワッと背中を悪寒が走る。

神様、私は結婚に興味はありますが・・・、いえ、嘘です。
興味なんてこれっぽっちもありません。すみません。

しかし、私はストーカーなんぞには髪の毛一本の関心もありません。なのに!

なぜ、こんな理不尽にコイツと遭遇させるのですか・・・!?



「か・・・金か!?」

私はかなりウロタエ、催涙スプレーの存在も忘れ震えました。

「は?金?なんの?なんか勘違いしてね?オレ、アンタに会いたかったんだよマジ。
良かった〜、会えて〜」

ソイツは私の肩を俄然離さず、少女達に別れを告げると私の腕を取って歩き出す。

「私に何の用なんです?あなた」

「ブッッ・・・アナタって!笑わせんナ〜〜。笑うっつーの」

ケラケラと笑う大男。

あなた・・・の使い方が悪かったのか・・・?自分が言った台詞を思い返す。

そんなに面白い台詞だっただろうか・・・。

「いやでもよかったよ。会えて。もう会えねえかなってちょと思ってたもん」

なんだその早口の日本語は・・・読みづらい。日本語か?日本語圏か?

「あ」

言って、男が立ち止まった。

「もしかしてさ?オレの服が違うから、オレってわかんなかったんじゃね?
ホラ、朝さ。毛皮オレ着てたんだけど。覚えてんだろ?」

毛皮・・・!

やっと、そこで私は初めて、あの寒空の下、裸に毛皮の男がコーヒーを
飲んでいた事を思い出した。

「あの時の・・・!」

息を飲むように答えた私を満面の笑みで待つ男。

「そそ。オレオレ。良かった〜覚えててくれて〜。ホッとしたな〜」

私もつられて顔が緩んだ。

「で、何か用が?」

「あ〜、あの目が忘れらんなくってサ。なんかムカついたからセックスしようと思ってヨ」

ヨ・・・yoか?

笑う大男。

固まる私。

セックス。こんな堂々と衆人観衆のもと。いや、ちがうだろ。

男だぞ。男相手にセックスって。いや、その前に今やっと相手が誰かわかった
時点で・・・いや、わかってないだろう。
名前も知らないぞ!いや、もう何が一番先にくるべきかなんて、もうわからなくなってきた・・・!

汗が流れた。

「ようこそ。流れ星の世界へ」

男の台詞の後、私は気を失った。



いったい、何が起きたのか・・・、私は砂漠にいた。

夢だと思った。

夢だと思って、なにもかもウツロで。

気持ち良くて、自分がどうなっているのかわけがわからなかった。

横を向くと、シャツにネクタイ、スーツの上着にトランクス。

点々と私の服が脱いである。

下半身がやけに熱い。

背中に触れる砂が心地よい温度で掴むとサラサラと指を滑った。

その砂を体がビクつく度に何度も握りしめる。

何もかもが気持ちよくて、時々顔を近づけてくるアイツをボーっと見上げていた。

心地よい苦しさに目を閉じる。

意識はまた果てしなく遠くへと飛ぶ。

その間際、アイツが言った。

「誰でも一緒だと思ってたけど。体の相性ってあるんだな〜・・・」

感心するような声だった。

ストーカー被害一日目だった。










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