ねえ、先輩。
どうして、アンタはオレを許してくれるんだ?
今だって、好きだって、好きだって、小さく聞こえてる。
ああ、オレだってそうだよ?
だけど、今はサイアクな気分でアンタを犯してる。
好きだから、ヤってるわけじゃない。
アンタが悪い。
アンタが悪いんだ。
だから。
だから、オレは今、「ラスタ」のブースでアンタを犯してる。






題して、アキタセイジの苦悩のセックスライヴ。
アッタマイカレテル〜〜!










「ラスタ」(一応オレ名義の店)にガキ共が集まる。
その中に紛れて、オレと先輩(イズミサワケイタ)は
ウーロン茶なんて渋いモノ飲まされてる。
ええ、ええ、オレが名ばかりのオーナーってのは重々
承知してマスとも!
いつだってオレの気分とはカンケーねぇモノが出てくる
店ですからネ。
あ〜、焼き肉食いてぇー。
「成長期のアルコール過剰摂取は、脳細胞の生産量を上
回る量で脳細胞を死滅させる、と、エライ人が言ってた
からな。あと5センチ背伸ばしたかったら後3年我慢しろ」
カウンターの向こうで氷を割るシオさん(マネージャー)。
「誰だよ、そのエライ人は。つーか客にはジャンジャン
飲ませてるじゃん」
「アレは客だから。ってかな誰が喜んで自分の息子酒漬け
にするか。オマエね、プロにならなかったら、一生ウチの
酒は飲めねーと思っとけよ?」
「・・・。なぁ先輩。今のは喜ぶトコ?呆れるトコ?」

隣のスツゥールでは、退屈そうに椅子を回転させる先輩。
いや、退屈なんじゃなくて、それが楽しくてやってんのかも。

「喜ぶトコ。オレだったら泣く」
「いや、このヒト、他人だし」
「オレ、ジュビロ行くから、オマエ、ガンバな?」
「先輩は行けるだろうけどサ・・。つーかなんでガンバ?」
「近いから」
「なら同じチームになりゃいいじゃん」
「ダメ。オマエの裸見ると勃つから」

オーイ!シオさんの前で、んなストレートに!!
シオさんは、オレ達が同棲してる事もモチ知ってる。なんせ、
オレのクソ兄貴にバラしたのは、このヒトだ。
口元だけ笑ってシオさんはガシガシ氷を割り続けてた。

「外でそういう事言うな」
「なんで」
「カネダじゃねーんだから、アンタはバックレてろ」
だいたい、思春期にカミングアウトなんてぶっちゃけすぎ
だっつーの。打ち明けられた方のがキツイ。
なのに、先輩は言い切る。
「オレ、もう隠さない事に決めたんだ」
「・・・決めるな」
「もう決めた」
「フザケんな」
オレがバシッとカウンターを平手で叩いた音に、先輩は顔を
向けた。
「・・・じゃ、アキタが相手だって、言わない・・」
「はぁ?」
意味がわからん。
「なんか、あったワケ?」
オレはクルクル動く先輩の椅子を足で止めて、オレの方へ向き
合わせた。
先輩は言いづらいのか、唇に手を当てて考えている。
「誰に言いたいんだよ?」
先輩はオレを見つめてから後ろを振り向いて店の右端から左端
までに埋め尽くされたガキ共を指差した。
「わかんねーよ。誰?どいつ?」
「・・・ここに来る客、皆・・」
「・・・・・・」


絶句。



先輩の思考回路がどうなってそんな行動に出ようとしてるのか
オレにはゼンゼン理解できなかった。
「シオさん・・・なんか知ってる?」
カウンターに前かがみになって小声でシオさんに聞く。
でもガンガンにダンスミュージックのかかるこの店では、小声
なんかでは喋れない。たぶん先輩にも聞こえてる。
シオさんはうんうんと頷いてから、
「テメーで聞け。」
とだけ言った。

あっそーですか。
でも、シオさんがそういうなら、たぶん何かあったんだろう。
この店で。
でなきゃ先輩がそんな事言い出すはずがないんだ。
この人は、出来るだけ自分の親に嫌われないように頑張ってきた
人なんだ。
いくら家を出た今だって、その気持ちは変わってないハズだ。
いつだって、気にしてる。
いつだって、憎まれてるんじゃないかって、心配してるんだ。
なのに、自分のせいで迷惑掛けてないかとか。
自分が何か悪い事したんじゃないかとか、泣くんだ。
泣くから、オレは抱く。

抱いて、覚えさせる。
「ここから出て行く気か?」
「イ、カナ・・イッ」
「ここがアンタが帰るトコだろ?」
「ウン、ウンッアッアアッ」
「なら、オレをちゃんとイかせろよッ他の事なんか、気にすんなッ」
「ヤッアッアッ・・!!」

オレだけのモノにできないジレンマ。
抱いても抱いても、先輩の気持ちはいつだって家族のモトにある。
オレは先輩にとって究極のストッパー。
全てのマイナス思考から開放してやれる唯一無二のチンポコ。
・・・・、自分で言ってて悲しくなってくるナ。
けどさ、どうすりゃ、先輩を解放してやれる?
オレにはセックスしか出来ないんだ、マジで。
泣く。
セックスする。
泣く。
セックスする。
泣く。
セックスする。


どうなの?
これって健全なセックス?
ある意味セイシンアンテイザイっぽいけどネ。



そんな先輩が、かみんぐあうと?
らしくない。
オレのお願いでもないのに、そんな事しようなんて考える
なんて変だ。



オレが、そんな先輩のエロシーンを思い出してた時。
「オレ、ちょっとトイレ」
先輩が椅子から降りた。

「セージ。」
そのタイミングを計ったように、オレの隣へシガが座る。
「シガ・・。一人か?」
「マサカ。つーか、ココ来れば、皆知ってるカオだし」
シガはデカイTシャツに腰のユルイ短パン。銀のクロスが
ホンモノかどうかは分からない。
「ふーん。ゲンは?」
ついでに聞いてみる。
「・・・・。さすが、セージだよ?」
って、シガは呆れ半分、嬉しそうな顔をする。

ムカつく。
「何が」

「ゲンの存在を気にしなくてもいいニンゲン」
シガは半分に減ったグラスを持ち上げてシオさんに向かっ
てカンパイ!
シオさんも、咥えてたタバコをそれっぽく上げた。
「だから、なんだ?」
「ん〜?」
「だから、なんだよ!?」
「タバコくれ」

・・・!
シガの脇腹に思わず拳が出た。
こういう考える暇も無くヒトを殴る事は、そんなに無い。
だが、酔っ払ってるシガには大して効かなかったのか、ヘラ
ヘラと笑って言った。
「ハクがつくってよ」
「何の」
「ゲンとヤれば名前が売れると思ってるバカがいるんだ」
「・・・バカじゃねーの」
「だから。バカだって。でも、ゲンはまだマシだ。アイツ
は警戒するって事を知ってる。ガキの頃から、持ち上げら
れたり、落とされたりって、忙しくイキテきたからな」
「・・・へー」
「・・・セージって、おかしいよな」
急にシガはオレに詰め寄った。
「この辺じゃ、セージを知らないヤツはいない。けどサ、オ
マエはサ、別にフツーじゃん。でも、皆、オマエを怖がって
る。始めっから仲良くしようとするヤツなんていねーじゃん」
「オマエ以外な」
「そうそう。ってオレは別にハクつけたいとかじゃないモッ」
シガは口元でグラスを揺らしてから、一口飲む。
「オマエの周りにくるのは、逆のヤツらだ」
グラスの中の氷を見つめながら、酔っ払いが言う。
「逆?オレが気にいらねーってヤツラか?」
「そう。・・・もしくは。」
「もしくは?・・・なんだよ、早く言えよ」
「ケータに本気で気があるヤツ」
ここでオレは音楽に負けない程の「ハ?」を発音した。
一瞬、皆がコッチを振り向いた気さえした。
なのに、シガは前を向いたまま喋った。
「ヤられてた。トイレで」
「いつ!?」
「昨日?オトトイか?どっちか」
指折り数えるシガを放って、オレは急いでトイレに向かった。
そのドアの前で。
「動くんじゃねぇよ!」
怒鳴り声。
「ヤメ・・ろ!」
嫌がる相手の声は、先輩の声だった。
「セージに跨ってんだろ?ええ?言えよ!コラッ」
「チガウッ、セージは違うッ」
「じゃぁ、テメー、セージを狙ってるカマかよ!?」
「ヤッ触るな!セージは関係無いッ」

バタン!

中で、男が二人がかりで先輩を壁に押さえつけていた。
ギョっとオレを振り返って、半裸の先輩から手を放す。
「関係ないって?」
「セージ」
「関係ないから、ヤらせてやったのかよ?」
「だって、・・・セージ」
「誰だよ!!先輩をヤッたヤツは!!」
力いっぱい。
手前にいた男の腿を蹴りつけた。衝撃で尻餅をついたソ
イツの膝を足の裏で何度も踏み潰す。

「ギャーッッ」

ソイツはトイレのタイルの上でのた打ち回った。
「サッカー部だったら悪かったな。二度と全力疾走でき
ねーかもな」
先輩を押さえつけてたヤツがイキナリしゃがみ込む。
頭を押さえて、ガタガタって感じ。
萎えるんだよ、バーカ。
その頭を足の裏で蹴っ倒した。
もう開放されたのに、固まってる先輩の腕を引き寄せる。
「黙ってヤラしてたのか」
「まさかっ」
首を振る先輩。
「アンタ、オレをわかってねーんじゃねーの?」

そうだよ。
アンタはちっともわかってない。

引き摺るようにオレは中二階にある、ブースへ大股で歩
いた。
先輩は半分脱げたジーンズを手で押さえて、外れたベルト、
ガチャガチャ言わせてる。

ウザイ。
ウザイ。
全部ウザイ!

ドアを開けて、ガラス張りの中で踊るラッパーに顎をしゃ
くった。
斜めに被ったキャップの下で目が見開く。
自分を指差して、オレ?のジェスチャー。
それすらも、ウザイし、どうでもよくなった。
ドアを閉めて、ソイツの隣に先輩を立たせて、先輩のジーン
ズとパンツを膝まで引き下ろす。
ギョッとして離れようとするラッパー。
「音楽止めて、マイク入れろ」
ラッパーは信じられないってカオ。
オマエみたいのに、そんなジョーシキあるんだ、へー。
そんなカッコのわりに意外とフツー?
それとも、オレがイカレすぎてんのか?
そんなコト思いながら、オレは自分のチンポ引っ張り出して
目の前で扱いた。
ついでにティーシャツに隠れちゃってる、先輩のも扱いてや
る。
ますますラッパーは口を開いてく。

「アキタ・・!」
「アンタさ」
先輩を後ろ向きにさせる。こうするとギャラリーが見える。
皆、音楽が止まって、コッチを見上げてる。
「オレがアンタに何してたオトコか、・・・忘れた?」
ケツを突き出させる格好。
「わ、すれて・・・ない」
「だよな。さんざんオレらにヤられて、よがってたんだからな」
なぁ、先輩。
オレは先輩の髪を掴んで振り返らせて、唇を嬲った。
キツク噛む。
血が出ればいい。消えないような傷になればいい。
「んっんっんーーーー!!」
先輩がガラスに手をついて掻いた。
「アンタはわかってねーよ」
わかってない。
わかってないんだよ。
オレがアンタに何してた?
アソビで、レイプしてたんだぜ?アンタを。
キモチいいからってだけで。
キモチ良くなりたいってだけで。
レイプしてアソンでた。
アソビ。

じゃサ、イマ、イマは?イマはどうだと思う?

「アキ・・・ッッ!!」
近くにあったグラスの茶色い液体を先輩のケツに、ダーーッ
と、垂らした。
それで、ケツの中に指を突っ込んで、めちゃくちゃに動かす。
「ヤッヤッ、あ、・・・ウワ・・・や、め、・・・!アキたっ」
「誰がアンタを支配してんのか、皆に教えてやんなきゃな。
アイツらバカだから、見せてやんなきゃわかんねーんだよ」
メチャクチャに指を動かしながら、三本の指を縦にした。
「アアアッッイタイ!」
「すげー声。ゼンブ聞こえてんだろうな、コレ」
「フッウッうぅっ」
先輩のケツを指でピストンしてやる。小指が邪魔で奥まで届か
ない。
「ホンキで怒らせんなよ、先輩。キレる。マジ、キレる。」
アンタをオレのモノにしたくてしょうがないんだよ。
オレの言う通りにさせたいんだよ。
オレしか好きじゃないって言わせたいんだよ!
それを。
アンタは。
「インランになっただけじゃなくて、相手すら選べなくなって
たんだ?なら、マジで、何処でだってシてヤルよ、先輩?オラ!」
引き抜いた手の代わり。
根元までイッキ。
「ああああーーーーーー!!!」
先輩の爪が、ギッと鳴った。
「言えよっココ使っていいのは誰だ?」
「アッアゥッあ、き、タっ・・!」
スピードを上げる。
機材と先輩がガシガシ擦れる。
「ダレとヤったんだよ?指差せ。ドレだよ!」
オレはギャラリーに向かって指差した。
「アゥッハッハッハッ・・・ヤッ、ヤッテな・・い!オレ、アッ」
ヤッテナイ・・?
ソラミミ?
そこへ、マネージャー入室。
「音楽」
慌ててラッパーが大音量でディスクを擦った。
それから、シオさんはブースの電気を暗くして中が見えないように
してから言った。
「営業ストップさせる気か、オーナー。ったく、このバカ。オマエ
が指差したせいで、皆パニックだ」
パニック?
「ダレがオマエのコレに手出すか。ケータは、自分はセージのだか
らって言っただけだ。わかれよ、バカ」
力が抜ける。

何?どういう意味?

ついでにチンポも抜く。
「アァッ」
腰砕けに先輩がズルズルと崩れてく。
「どんだけケータがナンパされて困ってたか、知らなかったろ?そ
の度、押さえつけられたり、撫で回されたり、クソミソ言われたり。
うちのスタッフが助けに入ったのは二度三度じゃねーぞ。オイ、オ
レの気苦労察しろ」
だから・・?
だから、先輩、急にオレとのコト、カム(かみんぐあうと)するって・
・・?。
「ったく。普段フツーなクセに、キレるとメチャクチャしやがって・
・・っアキタさん(兄貴)に知られたら何て言われるか。あんなに
美味いモン食わせてきたってのに、なんでこう育つか」
まるで、オカアサンのセリフ。
「・・・ゴメン・・」
で、なんとなく謝るオレ。
「謝る相手がチガウ」
今度はオレがアゴでしゃくられた。
「先輩」
渋々、カオを向ける。
先輩はまだ、泣いててヒックヒック言ってた。
目を擦る仕草がガキっぽい。
上目遣いに見られて、怯む。
「ゴメッ」
なんでか先輩が謝った。
「オレ、アキタに、イヤな気分味合わせたくないからっ、っだから、
オレっダレにも、ヤらせて、なぃ・・っ」

なんか涙出そう。

だって。
今さ、先輩はオレのためだって言ったんだぜ?
親のコトばっかいつも考えてたヒトが。
だから、カムするって。
オレのために。
手を伸ばして、先輩を抱きしめた。

ギュッ

「あ・・きたぁ」
先輩がもっと泣き出す。だからもっとギュッと抱きしめた。
「オマエがキレたせいで客が半分になっちまった。こりゃ当分、ヒマ
になるぞ、ウチは。ま、この件でケータに手出すヤツはいなくなるだ
ろうけどな」
舌打ちして、シオさんがここから出て行く。
ラッパーはオレ達のコトは居ないみたいにノリノリで動いてる。
音楽バカってヤツ?
ナルホドね。フツーじゃない。音楽の中に入り込んでるんだな。それ
以外はクソと一緒。
オレは自分と先輩の身繕いをしてソコから出た。

カッコわりぃ。

なのに、先輩は言う。
「あきた・・早く帰ろ?帰ってシて?オレは、アキタとだけシたいから」
「オレさ」
「うん」
階段を降りる途中。
後ろから先輩を抱きしめた。
「愛してんのかも。先輩」


だけど答えはなくて、先輩はただ黙って立ってた。
それで、右腕が上がって、目を擦る。
「帰って続き、シよ先輩。今ならオレ、すげー甘ったるいセックスで
きるから」

頷く先輩を連れて、裏通りを5分歩いて、マンションに着く。
まっすぐベッドに向かって、ハダカで抱き合った。
体の全部がくっつくように、絡み合ってキスする。
それだけでシアワセ。


マジ。
マジなんだよ。


朝まで、オレ達は、ドロドロになってセックスをした。






結局。
「ラスタ」の客は減らなかった。
代わりに、シガが来なくなった。
アイツにイッパイ喰わされた格好だ。オレの報復を恐れて、ホトボリ
が冷めるのを待つ作戦だろう。
後で聞いた話じゃ、あの時、ゲンがデート中でフテてたらしい。
そんな時、偶然に先輩とすれ違ったトイレ前。
波乱の予感に嬉々として、オレの横へ来たってわけだ。
退屈シノギってやつ。
ニャロ。

「何で笑ってんの?」
シーツの上、ぐったり寝そべる先輩の手がオレの顔を撫でる。
「いい事考えてる」
「ウソだ。悪いコト考えてる顔だ、ソレ。すげー楽しそうだも」
思わず、ニヤける。
「そう?」
よくわかってるじゃん。さすが被害者?いや、さすが恋人?
先輩にキスする。軽く離れると、もっとって舌が追ってきた。
こういうとこカワイイ。






そうやって先輩をいじくりながら、シガをどうやってイジメテやろうか
とオレは嬉しくなった。








シアワセだ。









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